竹の子の話です。
チョット長いですが、読んだ人はきっと参考になると思います。
6月3日、今年最後の竹の子を収穫しました。 それは、背丈以上に伸びた孟宗竹です。
掘ったのではなく先端をちょん切ってきました。
これが、柔らかく、香りが良く、しかも美味しいのです。
落ち葉を足で掻き分け、微かに芽を出した竹の子を掘り、「旬の香りがする。」と旨そうに食べている旅番組。
地上に芽を出す前の竹の子は、灰汁(あく)が少ない代わりに、香りや旨みも少ないので、この手の番組を見るたび、「旨い竹の子を食った事が無いんじゃないの!」と、呟いてしまいます。
それにしても、味も香りも少ない竹の子を、「旬の味」と教えられている茶の間の視聴者は、たまった物ではありません。
上分のHPをごらん頂いている皆さんだけに、柔らかで、香りがよく、旨い竹の子の味を教えます。
― 竹の子をおいしく食べるには ― |
● 第一に掘りたて(取り立て)、それに付きます。 あえて付け加えるならば太くて大きい物です。 ● 太い物は成長が早いので、柔らかく灰汁が少ないのです。 ● 逆に細くて小さい物は、成長に時間が掛かっているので、硬く灰汁が強くなっています。 従って、太くて30cmぐらいに成長した物が一番美味しく食べられます。 ● 地上に芽を出す前の物は確かに灰汁が少ないが竹の子本来の香や旨みも少ないものです。 それが大きくなると、灰汁も強くなりますが、香りも旨みも出て来ます。 ● 小さい竹の子は皮を剥いたら食べる所がありません。 大きい物だと数本で鍋いっぱいの量になります。 これも大きい竹の子の良いところです。 |
![]() 40cm以上の大きさに育った竹の子。 5月連休前に出る物はもっと太い物が多い。 |
― 竹の子の下ごしらえ (大きい竹の子の処理方法)― |
● 4月中旬の走りの時期を除けば、竹の子は掘らずに地上に出た部分を唐鍬(とうぐわ)で倒せば良いのです。 無理に掘っても根の部分は硬く、茹でるのに時間が掛かるだけです。 ● 1m以上になった物は、先端の30cmから40cmぐらいから切り取ります。 ● 次に、包丁で真二つに割って皮を剥きます。 |
![]() 竹の子の割り方、包丁で真っ二つに割る。 |
![]() 半分になると簡単に皮を剥く事が出来る。 |
![]() 皮を剥いた状態。 このとき先端の柔らかい皮が残るようにする。 |
![]() 先端の皮の部分は柔らかくて美味しい。 |
● 節の硬い部分(茶色になった節)を取り除く。 ![]() ● 大きくなると、節の部分に茶色の色が付き、硬くなります。 色が濃い場合は、包丁で節の部分を切り取って捨てる。 ● 黄色であれば取り除く必要は無い。 ● 更に途中が青くなった物は、既に竹になり掛かっていて硬いので捨てた方が良い。 |
● 小さい物も同じように割って皮を剥きます。 割ることで火の通りが早くなるのと、茹でる時浮き難くなります。 ![]() ● 小さい竹の子の場合も皮の剥き方は同じ様に行う。 ● 根元の赤い粒々(根になる部分)は硬いので捨てたほうが早く茹でる事が出来る。 ● 根元まで掘らず柔らかい部分だけ取れば良い。 (但し、根元の歯ごたえがたまらなく旨いと言う人もいる) |
― 調理方法(茹で方) ― |
早く茹でさえすれば、灰汁は少ないものです。 上分では、古くから「釜戸に火をくべてから掘りに行け。」と、言われてきました。 ● 掘ったその日に必ず茹でる。 普通掘ってから12時間以内に茹でないと灰汁が強くなり、不味くなってしまいます。 一旦灰汁が強くなった竹の子は、煮ても焼いても簡単に灰汁が抜けません。 ● 硬い部分を取り除けば、沸騰後30分から1時間で茹で上がります。 ● 一般的に良く知られている糠(ぬか)を入れて茹でる方法は、灰汁抜きにはあまり効果が少ないそうです。 むしろ、糠と一緒に煮る事で、糠の旨みが竹の子に移り風味が増す事が目的で、飽く迄も好みの問題です。 ● 糠を使わず水だけで茹でた方が、糠を洗う手間が省け更には保存性も良い様です。 ● 更に、上分の竹の子は糠を使わなくても旨いと定評があります。 |
― 保存方法 ― |
茹でた竹の子は、傷みやすい物です。 昔から上分では、「竹の子料理は弁当に入れるな。」と、言われておりました。 ● 長く保存するには、雑菌が入らない様にして、冷蔵庫に保管する事です。 ● 方法としては、 1.茹で終わったら、取り出さずそのまま冷ます。 2.茹で汁から洗わず取り出し、新しいビニール袋に入れる。 (古いビニール袋や素手で扱うと、雑菌が入りやすい) 3.すぐ冷蔵庫で保存する。 こうすれば、1週間ぐらいは美味しく頂けます。 ● 味付け(調理)後も傷みやすいのです。 1.調理したら早めに食べる。 2.濃い目の味付けにするなど注意する必要があります。 |
今までは街の人たちが食べた竹の子は、掘ってから時間が経過し灰汁の強い物か、中国産の茹でた添加物入りの物がほとんどだったと思います。
従って「竹の子はあまり好きでない」という人が多いのだと思います。
その人たちが上分の竹の子を食べて、異口同音「竹の子ってこんなに旨いんだ!」と言うのは、土壌の良さから来る竹の子の旨みと何よりも「掘ってすぐ茹でる」それを食べたからだと思います。
竹の子は、5月連休を過ぎると細く数が減ってきますが、入梅前まで生えてきます。
大きくなった竹の子は柔らかく、香りが良く、とにかく旨いものです。
来年は、是非このHPを思い出して美味しい竹の子をご賞味ください。
2009.06.05 eno