2008.08 掲載分
沢沿いの北向きの岩に咲く岩タバコ。
今年は暑すぎたせいか花付きが今一でした。
6月18日鎌倉にアジサイを見に行ったら、アジサイと共に岩タバコが満開でした。
「上分の岩タバコもそろそろ咲き始めたかな?」
と思い、8月3日上分で唯一群落のある場所に行って見たが、まったく咲いていませんでした。
「今年は暑すぎて咲かないのかな?」
と近所の人に話したら
「岩タバコが咲くのはお盆頃だよ!」
と言われ
「いくら鎌倉が暖かいと言っても二ヶ月も違うはずが無い」
と内心疑っていました。
が、確かに咲き始めたのは、お盆も近い8月10日過ぎでした。
何でこんなに違うのか、調べて見ると簡単な話でした。
鎌倉に咲いていた岩タバコは、「毛岩煙草」(ケイワタバコ)と言って、花茎や葉の裏側に柔らかい毛が生える早咲きの種類だそうで、岩タバコより一ヶ月以上開花が早いそうです。
2008.08.27 eno
黒指「沢の下」の裏山に「狐のカミソリ」の小さな群落があります。
狐のカミソリは彼岸花と同じ仲間で、春先他の草より先に芽を出し、周りの草が生い茂る頃、葉は枯れてしまいます。
真夏のお盆前(彼岸花よりも一月ほど早く)、今度は花茎を伸ばして、枝分かれした先に橙色の花を数個咲かせます。
この花、彼岸花や夏水仙と同じ様に毒があるそうです。
綺麗な花なので移植を試みたが、すぐ枯れてしまい他の場所に移すのは難しいそうです。
彼岸花と言えば、以前こんな事がありました。
デイビットさんが上分に住み始めた頃、彼岸花の球根をノビルと間違えて食べてしまい「嘔吐と下痢で、死ぬかと思った」と大騒ぎになったことがありました。
幸い大事には至りませんでしたが、彼岸花の毒を再認識した事件でした。
この小さな群落、山主の「勝ちゃん」が草刈の時期を調整するなどして保護してきた甲斐あって、最近広がってきたそうです。
2008.08.21 eno
8月14日10時から、上分地区の菩提寺「光全寺」でお施餓鬼会が行われました。
29戸と少ない檀家ですが、当日は沢山の方が集まり、3人の僧侶の読経とご詠歌が流れる中、厳粛に執り行われました。
こちらは、「沢の下」の盆棚です。
最近は、仏壇に竹を立て、茅(ちがや)にホウズキを吊るした、簡易的な盆棚で済ます家が多くなってきましたが、まだこの様に、別に盆棚を飾る家があります。
15日は、吉原和尚さんによる棚行が、光全寺の檀家全てに行われました。
棚行は、それぞれの家の盆棚(もしくは仏壇)に「般若心経」を唱えて回ります。
上分から他の地区へ出られた家にも訪ねて行かれるそうです。
2008.08.16
臭木(くさぎ)が咲いています。
「臭木」・・・名前からして印象が良くありません。
ちょっと枝を揺すっただけで、あたり一面に独特の、あまり良い感じではない、臭いが漂よってきます。
黒指から細田に向かう市道を、300mぐらい行った旧道と林道の分岐点。
通称「わかされ」には、二種類の臭木が咲いています。
一つは、昔から上分にある臭木で、2〜3mもある大きな木に、薄いピンクの花を沢山付けています。
もう一つは、最近この場所に咲き始めた牡丹臭木です。
こちらは、一本立ちの1mぐらいの木で、先端にピンクの丸い大きな花の固まりを、一つ付けています。
この二つ、樹形も花も似ても似つかない木ですが、葉っぱや幹から発する独特の臭いはまったく同じです。
花の香りは二つとも、幹や葉っぱの臭いとはまったく違って、香しい匂いです。
牡丹臭木は微(かすか)に甘い香がします。
臭木の花は、近くで山百合が咲いているのかと間違えるほど、良い香です。
その匂いに誘われて、蜂や蝶の仲間が沢山蜜を吸いに集まります。
臭木の花には、この日もアゲハチョウが二頭蜜を吸いに来ていました。
2008.08.13 eno
蜩は一般的なイメージとして、
『夕方「カナカナ」と寂しく鳴いている静かな蝉だ。』
なんて思っている人が多いと思いますが、上分の蜩はちょっと違います。
それは毎朝、夜も明けやらぬ4時頃から始まります。
数匹の蜩が鳴き始めるとそれを合図に、あちらの谷、こちらの尾根と、まるで波が押し寄せるが如く、何百匹もの蜩が山全体で鳴き競う、まさに蜩の大合唱です。
まるで誰かが指揮を取っているかのような見事な調和で、たまたま目を覚ました時などは、しばし聞き入ってしまいます。
大合唱の響きは、新聞配りのオートバイの音をかき消してしまうほどですが、何故か30分もするとピッタっと鳴き止み、また朝の静寂がおとずれます。
この大合唱もお盆までで、その後は「カナ・・カナ」と消え入りそうな泣き声が、夕暮れ時の山に響くだけとなります。
いま、上分の沢筋では「玉アジサイ」が見ごろです。
あまり明るくない杉の樹林の下には「姥百合(うばゆり)」が、花びらを水平に向けた独特の形で咲いています。
2008.08.06 eno
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